失敗から学ぶのが一番早い
競売は正しくやれば安全にお得な不動産を手に入れられます。でも、準備不足のまま入札して痛い目に遭う人も少なくありません。ここでは、実際にあった失敗パターンを5つのケースに分けて紹介します。同じ轍を踏まないための参考にしてください。
教訓1:管理費の滞納を見落として200万円の追加出費
東京都内のマンションを800万円で落札したAさん。周辺相場1,200万円の物件だったので「400万円もお得!」と喜んでいました。ところが、引渡し後に管理組合から連絡が。管理費と修繕積立金の滞納額が合計180万円。さらに遅延損害金が20万円。合計200万円の請求書が届きました。
Aさんは3点セットの物件明細書をよく読んでいませんでした。「その他の事項」欄に「管理費等の滞納あり」と記載があったのに、見落としていたのです。
マンションの競売では、管理費・修繕積立金の滞納額を物件明細書と管理会社への問い合わせの両方で確認すること。滞納額を含めた「取得総額」で損得を判断する。
教訓2:再建築不可の土地を買ってしまった
地方都市で150万円の土地を落札したBさん。「更地で150万円は安い。小さな家を建てよう」と計画していましたが、建築確認を申請したところ不受理に。土地が接道義務を満たしていなかったのです。幅員4mの道路に面しているように見えましたが、それは「建築基準法上の道路」ではなく、ただの通路でした。
評価書には「接道:建築基準法上の道路に接しない」と小さく記載されていました。売却基準価額が極端に安い場合、何かしらの理由があります。「安い=お得」とは限りません。
「安い土地には理由がある」を肝に銘じる。接道義務・用途地域・地目は評価書で必ず確認。不安なら入札前に自治体の建築指導課に相談を。
教訓3:相場を調べずに高値で入札してしまった
駅近のワンルームマンションを「絶対に落としたい」と意気込んだCさん。売却基準価額500万円の物件に、850万円で入札しました。無事落札しましたが、後から調べると周辺の同スペック物件は750〜800万円で売りに出ていました。
仲介手数料がかからない分を考えても、通常の売買で買った方が安かったという結末に。リフォーム費用を加えると完全に逆転。Cさんは「冷静に周辺相場を調べてから入札額を決めるべきだった」と振り返っています。
入札前に周辺相場を3件以上調べ、リフォーム費用と諸経費を足した「取得総額」が相場を下回ることを確認。上限額を決めてから入札書を書くこと。
教訓4:占有者の退去に半年かかり、家賃収入がゼロ
投資用にワンルームマンションを落札したDさん。3点セットには「占有者あり・引渡命令可」と記載されていたので、「引渡命令を出せばすぐ退去してもらえるだろう」と軽く考えていました。
ところが、占有者は引渡命令が出ても退去せず、強制執行が必要に。申立てから執行まで約3ヶ月、その間の家賃収入はゼロ。強制執行の費用は約40万円。残置物の処分にもう10万円。落札価格に50万円をプラスしたのと同じ結果になりました。
占有者ありの物件は、退去までの期間と強制執行の費用を最悪ケースで見積もること。「引渡命令可=すぐ退去」ではありません。初心者は空室物件から始めるのが無難。
教訓5:代金が用意できず保証金150万円を没収
戸建てを750万円で落札したEさん。保証金は150万円を納付済み。残代金600万円は知人から借りる予定でしたが、直前になって断られてしまいました。銀行に駆け込むも、期限内にローンの審査は間に合わず。
代金納付の期限に間に合わなかったため、保証金150万円は没収。落札も無効に。Eさんは何も手に入らないまま150万円を失いました。
入札=「買う覚悟」です。資金の確保は入札前に完了させること。ローンなら事前審査済み、現金なら口座残高の確認。代金を用意できないリスクは、保証金全額の損失として返ってきます。
5つの失敗に共通すること
振り返ると、5つの失敗にはすべて「事前の調査・準備が不十分だった」という共通点があります。
- 3点セットを隅々まで読んでいなかった
- 周辺相場を調べていなかった
- 追加費用(滞納金、リフォーム、占有者対応)を見積もっていなかった
- 資金計画が曖昧だった
- 最悪のケースを想定していなかった
競売はギャンブルではありません。情報が公開されている以上、リスクの大半は事前に見抜けます。「安いから」で飛びつかず、1件1件丁寧に調査する。その手間が、大きな損失を防ぎます。
まとめ
競売で失敗する人のパターンは決まっています。逆に言えば、この5つの教訓を守るだけで失敗確率は大幅に下がります。3点セットの読み込み、相場調査、費用の見積もり、資金計画の確定、最悪ケースの想定。地味な作業ですが、これが競売成功への最短ルートです。
3点セットの読み方は3点セットの読み方ガイド、費用の全体像は競売にかかる費用の全て、入札のコツは初めての競売入札で失敗しないための10のコツをぜひご覧ください。競売・公売ポータルで物件を検索して、実際の3点セットを読む練習から始めてみましょう。